日刊OkiMag

沖縄の民話

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■くしゃみとクスクェー(糞食らえ)

 沖縄では子供がくしゃみをすると間髪いれずに、クスクェ(糞食らえ)というおまじないみたいなものがある。(時代の波で、現在ではあまり聞かれなくなっ たが、オジーやオバーがいる所ではまだ残っているのではないでしょうか。) 今日は、その言い伝えについてお話しましょう!

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 昔、中年の仲むつましい夫婦が住んでいました。しかし、この夫婦には子供がいませんでした。それで、夫婦は子供に恵まれるようにと毎日神様にお祈りしていました。その甲斐あって、だいぶ年をとってから男の子が授かりました。

 ふたりはたいそう喜び、手伝いの女の人を頼んで、賑やかにお祝いすることを思い立ちました。早速、那覇の辻町まで出かけましたがお願いできる女の人がいません。二人ががっかりしていると、一人の美しい女性が通りかかり、その人に頼みましたら、喜んで引き受けてくれました。それで、いっしょに帰り、宴会の準備をしてもらいました。

 家では、親類、知人、隣近所の人たちがつめかけ、大宴会となりました。 ふと、隣に住むオバーが戸の隙間から覗くと、手伝いにきている女の人は、顔 だけあって、首から下はありません。ドゥマンギタ(肝を冷やした)オバーは、 すぐのこの家の主人を呼んで、話しましたが、信じようとしません。そこで、オ バーと同じように戸の隙間から覗いてもらうと、びっくりしたことにオバーがい う通り首から下が見えません。主人は、「これは、たいへんなことになった。 今騒ぎ出すとお客さんにも迷惑をかけ、たいへんなことになる。お客さんが帰る まで待とう」といい、宴会を続けました。

 宴会も終わり、お客も帰り、主人は、 素知らぬ顔でその手伝いに来た女の人に丁重にお礼を言って、帰ってもらいまし た。主人は、気になり女の人の後をつけました。  女の人は、那覇の波之上海岸(戦前、この辺りは、亀甲墓が立ち並んでいた) の辻原の墓の前に来て立ち止まりました。

 すると女の人は墓に向かって、「ただいま帰りました」と言うと、墓の中から 「お前はなんでこんなに遅いのか?もう、入れないぞ!」と返事が返ってくるではありませんか。すると、女の人が、「途中で男に頼まれ、子供の出産祝いの手 伝いに行ったため、帰りが遅くなりました。では、私がその子供をあの世に連れて参りますから、どうぞお許しくださいませ。」と悲しい顔で詫びました。

 「子供を連れてこれば、許さないこともないが、お前はどのようにして、その子供を連れてくることができるんだ。」と墓の中から声がしました。  「わけはありません。赤ん坊にくしゃみをさせれば、すぐにでも連れてくることができるでしょう。」と女の人は答えました。 墓の中から「そんなに簡単に事が運ぶかな。人間はものしりだよ。おまえが赤ん坊にくしゃみをさせても、人間どもがクスクェー(糞食らえ)と一言言えば、 どうすることもできやしないではないか。」と声がしました。

 この対話を聞いていた主人はこれはたいへんだとさっそく家に帰って、家中の者に今までのことを詳しく話しました。そして、くしゃみをしたらクスクエーと 言うように言いふくめました。しばらくして、様子を見ていると赤ん坊が続けざ まに、くしゃみをはじめました。さあ、びっくりした家中の者は、皆で「クスク ェー」を連発しました。とうとう、女の幽霊は赤ん坊を奪うことはできませんで した。それからというもの、くしゃみが出たときには必ず「クスクェー」と言う魔除けのまじないを言うようになったということです。

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※いかがでしたか?知っている方もいるとは思いますが、沖縄を知る手がかりになれば、これ幸いです。因みに「クスクェー」→「クスケー」とも言います。  ところで、本土ではくしゃみしたときのまじないみたいなものはあるのかな?  確か、アルゼンチン(スペイン語圏)でも、くしゃみをしたらSALUD:サルー(健康を祝う?)と言って厄を落とすおまじないみたいなものが有ります。できれば、今後このような沖縄の文化、風習などを紹介していきたいと思います。

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