日刊OkiMag

沖縄の民話

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   昔、沖縄では結婚することを赤綱縁結び(あかじなえんむすび)と言われたそうです。(現在でも使われている地域もあるかもしれませんが・・・。)  それは人間は生まれるとすぐに夫婦になる人同士が赤い綱で足が結ばれているからです。今回は、その運命の赤い糸ならぬ赤い綱についてのお話。

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■赤綱縁結び   【名護市】

  昔、沖縄本島北部・国頭(くにがみ)の役人の子供に賢い青年がいました。 「山奥にいては、偉い人になれないから、首里に行って学問を習おう。」と首里まで旅をすることにしました。その頃は、歩いて行くので国頭から首里まで5,6日もかかりました。最初の晩は、ある山の木の下で一泊して次の日は、いくつか先の山の木の下で一泊するといったふうにして旅を続けました。そして、旅をしていたある日、「今日はもう日も暮れたし、この大きな木の下で寝よう。」としていると、その木の下で赤い綱をなっている白髪のおじいさんがいて、青年に声をかけてきました。

  「お前はどこに行くのかね?」との問いかけに、青年は、「私は首里に行って勉強して、一番科(役人登用試験にトップで試験に合格すること)になって親孝行しようと思っているのです。」と答えました。 青年は、このおじいさんがどうしてこんな所で綱をなっているのか不思議だったので、「おじいさんのなっている綱は何に使うのですか?」と聞きました。すると、おじいさんは縄をなう手を休めずに、「これは世の中の男女の縁を結ぶ綱だよ。」と答えました。

  青年が、「人間は生まれつき縁というものがあるというが、本当なんですね。」と言うと、おじいさんは、「そうだよ。お前の妻になる女も誰かわかっているよ。」と答えました。びっくりして青年が、「えっ、本当にわかるんですか?」と問い掛けると、「うん、わかるよ。向こうから薪を担いでくる娘がいるだろう。あれがお前の妻になる娘だよ。」と、おじいさんが言いました。見ると、その娘は、色も黒くて頭の毛が赤い、醜い娘でした。「ああ、こんな女が私の妻になるのか。こんな女なら妻などいない方がましだ。」と思った青年は、急にその娘に刀で切りつけると、後も見ないで逃げて行きました。

  それから、青年は首里へ行って一生懸命勉強して役人になる試験を受け望み通り一番で合格しました。試験に合格すれば、役人になって出世できるので、何年かぶりに、国頭の家に帰ることにしました。国頭に帰る旅の途中、日が暮れたので辺りを見渡すと、金持ちの立派な家があったので、 「今夜一晩泊まらせて下さい。」と頼むと、「あなたは、どこから来たのですか?」と家の主人が聞きましたので、「今日まで首里で学問をして、  一番科になったので、父や母を喜ばせようと思ってこれから国頭に帰る所です。」と青年が言うと、その家の主人は、一番科になる人など滅多にいないから、「そうですか。それでは、どうぞ泊まりなさい。」と言って、青年を泊めてくれることになりました。

  その家では、もう青年が一番科でこれから出世する秀才だというので、夕御飯もご馳走を作ってもてなしました。  この家には、とても美しい娘がいました。主人は、「どうですか。この娘は、私の娘ですが、あなたの妻にしてもらえませんか。」と言いました。青年は、もう一目でその娘が気に入ったので、「はい、妻にしてもいいですよ。」と言って承知しました。やがて、二人は結婚してとても仲のよい夫婦になりました。

  すると、ある日のこと、妻が花木に水をかけているときに、首から背中にかけて大きな刀傷があるのに気づいて、「お前の背中に大きな刀傷があるが、これはどうしたのか。」と聞くと、「実はこれは、今から何年か前、私が山から薪を担いで帰ってくるときでしたが、どこの人かわからない人が急に刀で切りつけられたのです。それで、私が気絶しているところを今のこの家の人たちに助けられて、これから、この家の養女として育てられたのですよ。」と妻が答えました。

  この時、青年はあのおじいさんの言葉を思い出しました。  「ああ、私があの時斬った娘は、この娘だったんだなぁ。やっぱり、あのおじいさんの言う通り、人間は、生まれるとすぐに、夫婦の縁が赤い綱で結ばれているんだ。しかし、あのことは話せないから、これからは罪滅ぼしに、この人を大切にしていかないといかんなぁ。」と思って、ますます妻を愛するようになったので、家庭円満で、立派に出世して、幸せに暮らしたということです。

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