日刊OkiMag

沖縄の民話

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 今回は、何故、枡(ます)の角で人を打ってはいけないか(当然先が尖っていてあぶないですが)について。

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■幽霊と枡       【勝連町】

昔、仲の良い夫婦がいました。しかし、ふとした病気が元で嫁さんは死んでしまいました。仕方がないので、男は新しい嫁さんをもらいました。 すると、死んだ嫁さんは仲のよかった夫を忘れることができずに、とうとう幽霊になって出てきました。

そして、新しい嫁さんに、「あなたの夫を譲ってくれ。」と頼みました。 新しい嫁さんは、「夫はあなたに譲れば死んでしまうから、譲ることはで きない。」と断りました。いくら頼んでも断られるので、「それでは、私の大事な宝物をあげよう。お金でもどんな願いごとでも、かなえてくれる宝の 枡と、あなたの夫と取替えっこしよう。」と幽霊は言いました。

しかし、新しい嫁さんは、「いいえ、どんな宝物でも夫をあなたに譲るこ とはできません。」ときっぱりと断りました。「それでは、仕方がない。」 と悔しい思いを残して幽霊は帰って行きました。

その思いが夫に取り付いたのか、しばらくして夫は病気で寝込んでしまい ました。新しい嫁さんは不安になって、「幽霊の言うことをよく聞いてみよう。」と考えていると、枡を持った幽霊がまた出てきました。

嫁さんが、「あなたの持っている物と夫を替えましょう。それは、どうい う宝物なの?」と聞くと、「この角からはお金が出る。こっちの角からは、 ご馳走が出る。またこの角からは、着物が出る。」と幽霊は答えました。

幽霊が三つの角までは教えたけれど、四つ目の角を教えなかったので、嫁 さんは、「この角を教えれば、夫を譲ってもいいよ。」言いました。 「ほんとうに教えたら譲ってくれますか?」と幽霊が言うと、「いいよ。 それを教えたら譲るよ。」と言って、嫁さんと幽霊は約束しました。

「さあ、この角は何が出るのか?」と嫁さんが聞くと、幽霊は「この角で 打つとね、幽霊でも化物でも、どんな悪い物もプープープープーってゴミに なって無くなってしまうんだよ。」と答えました。

「ああ、そうだったの。それなら替えよう。」と言って嫁さんは幽霊の持 っている枡を取って、その四番目の角で幽霊を思いっきり打ちました。 すると、幽霊はプープープープーとゴミになってどこかへ飛んでいって無 くなってしまいました。

こういう理由で、枡の角で人を打ってはいけないと昔から言われていると いうことです。

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