日刊OkiMag

沖縄の民話

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 亀の恩返しでは「浦島太郎」が有名ですが、今回は沖縄に伝わる亀の恩返し  について。

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■亀の恩返し       【那覇市】

 昔、もうすぐ唐の国に旅をすることになっている役人が用事のために糸満 に行きました。すると、大勢の人が集まって騒いでいるので、その役人は何事だろうと覗いてみました。   人垣の中には、これまで見たことがないほどの大きな亀がいました。 ちょうど、漁師がその亀を殺そうとするところでした。

  役人が、「海亀は龍宮の使い」という言葉を思い出していると、その大きな海亀は、この役人に助けを求めるように、役人の方を見て涙を流しました。 役人は、思わず漁師に声をかけました。「ちょっと待ってくれ。」 漁師が「はい、何かご用ですか。」と言うと、役人は「その亀を譲ってくれないか。」と、沢山のお金を払って亀を漁師から買うと、海亀を海の傍らまで運ばせました。

  役人は海亀を海に放すとき、甲羅の間に自分の簪(かんざし)を刺してやり、「私は、これから唐の国に旅をすることになっている。お前を助けてやるから、どうか無事に唐旅をさせておくれ。」と言って海に放してやりました。

  その役人が乗る船は、何日かの間、順風を帆にはらんで唐の国に向かって進みました。ところが大きな嵐がきて、大波にもまれて、そのうちに船は二つに割れてしまいました。船に乗っていた人達は、嵐の海に投げ出されてま  した。

  役人も海に飛び込んだがもう助からないと思いました。大きな波が襲いかかってくるので、浮かんでは波にたたかれ、また浮かんでは次の大波に呑み込まれて、すぐに溺れそうになりました。

  幾度かの大波に呑まれて沈んだとき、岩のようなものが下からその役人を押し上げてくれました。役人がその岩のようなものにしがみついているうちに役人は海の上に浮かびました。 岩のように思ったのは、大きな亀だったのです。

  その亀は大波が押し寄せると、役人を乗せたまま、その波の上のほうに巧みに乗りました。そのうちに嵐も過ぎて次第に波も静かになりました。 亀の傍らにはその亀を助けるように、大きな鮫(さめ)が並んで泳いでいました。

  「この亀は、まるで私を助けようとしているようだ。もしかすると、この亀はあの時の亀かもしれない。」と思って、役人が亀の甲羅を探ってみると前に自分が糸満でさしてやった簪(かんざし)がありました。

  「ああ、この亀はやはりあの時自分が助けてやった亀だ。」亀は役人を乗せて、鮫と並んで泳ぎ、亀が疲れたころのなると鮫が役人を乗せて泳ぎ、こうして、役人を無事に陸地まで運んでくれました。

  役人は亀のお陰で生命が助かり、無事に役目を果たすことができ、唐旅から帰ってくると、このことを一門の人達に話したので、それからは、この亀に助けられた蔡一門は亀の肉を食わなくなったということです。

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