日刊OkiMag

沖縄の民話

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 沖縄にはクガニーと呼ばれる小さな甘い蜜柑(みかん)があります。
 今回は、そのクガニーの由来についてのお話。

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■黄金小猫     【与那城町】

  昔、ある小さな村に雷(かみなり)を大変怖がるお母さんと二人の息子が住んでいました。 ある日急に空が曇ってきて稲光(いなびかり)が走り、家もひっくり返るかと思うほどの雷が鳴り響きました。 お母さんは、そのあまりにもひどい雷の音に驚いて死んでしまいました。

  お母さんが後生(ぐそう:あの世)へ行った数日後に、また朝からこの前のようにすごい雷の音がしました。弟は死んだお母さんのことが気になり、じっとしておれませんでした。   そこで兄の家に急いで行くと、「兄さん、こんなに雷がなっているので、お母さんはきっと雷を怖がって震えているよ。兄さん、一緒にお墓の傍(そば)まで行こう。」と言って兄を誘いました。

  しかし、兄は「後生へ行ってしまった人がどうして雷を怖がったりするんだ。それほど行きたいと思うなら、お前一人で行ったらいいんじゃないか。」と言いました。

  仕方なく弟は一人で雨が激しく降り続いている外に出ました。弟は、稲妻と雷の音にびくつきながらお墓へ夢中になって走って行き、お墓に着くと肩で息をしながら、「お母さん、今日もこの前のように雷の音がひどいので、びっくりしていませんか。」とお墓のお母さんんに言うと、急いでお墓を開けて中へ入って行きました。

  すると、墓の中の棺箱(かんばこ)の上に猫が座っていました。弟は、その猫を見ると、「この猫はお母さんの魂(たましい)に違いない。さあ、お母さん一緒に家に帰りましょう。」と言って、その猫を連れて家に帰りました。

  弟は仕事をするときも寝るときもいつも猫と一緒でした。 ある日、夜明け頃、弟は猫の低く唸る声で目を覚ましました。何事かと思ってひょいと猫の方を見ると猫がいくつも黄金(くがに)を産み落としていました。それから毎朝猫は黄金を産むようになったので、弟は村でも評判の金持ちになりました。

  その評判を聞いてやって来た兄が、「お前は人の物を盗んできて金持ちになったのか。」と問い詰めたので、弟はお墓に行こうと兄さんを誘った日にお墓の中にいた猫を連れて帰ったら、その猫が黄金を産むようになったことを話しました。

  兄も黄金が欲しいので弟から猫を借りると、すぐに自分の家に猫を引っ張って帰っていきました。しかし、この猫は兄の家では毎朝うんちばかりしていたので、腹を立てた兄は猫を殺して庭に放り出しました。

  弟は、兄が猫を連れて行ってから猫のことが気にかかっていました。 ある日胸騒ぎがするので、兄の家へ走って行ってみると、兄の家の庭に死んでしまった猫が捨てられていました。

  弟はその猫の死体を持ち帰ると家の庭の隅に大事に葬ってやり、その猫の墓の上に木を植えると、まもなくその木は大きく高くなり、毎年黄金色の実がたくさん実るようになりました。 これが沖縄のクガニーと呼ばれる蜜柑(みかん)の始まりということです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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Copyright (C) 1999 沖縄まが人


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