日刊OkiMag

沖縄の民話

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 今回はニチィ花という死んだ人を埋めた場所に咲く花のお話について。

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■ニチィ花    【宮古伊良部町】

  昔、貧乏なニチィという男が山に薪を取りに行った帰り、大きな家の前を通りかかるとその家の中からにぎやかな唄や三味線の音が聞こえてきました。 ニチィは、あまりに賑やかで楽しそうなので、お祝いでもしているのかと思い、薪を背中から降ろすと恐る恐る庭に入り、家の中を覗いて見ました。

  「誰だ、勝手に人の屋敷に入り込む奴は。」という声がして、家の中から飛び出してきた男達に取り囲まれました。 「ほう、あの薪はお前のものか。勝手に人の屋敷に入った罰として取ってしまえ。」と言って、ニチィの薪を取り上げようとしました。

  そして、それを止めようとしたニチィは殺され、死体は家の柱の下に埋められてしまいました。 ニチィの家には、妻と生まれて間もない男の子がいましたが、父親が殺されたのでますます貧しくなりました。

  その子が、7、8才ぐらいになった頃、父親を殺した大金持ちの家に大変きれいな花が咲いて評判になり、その噂を聞き、遠くから大勢の人々が見に来るようになりました。欲張りの金持ちの家では、この時とばかりに、その花を見に来る人から沢山のお金を取って大変儲けました。

  ニチィの家の男の子も「お母さん、向こうの家にきれいな花が咲いていると言うんで、見に行きたいなぁ。」と言いましたが、その家で夫が殺されていることを知っている母親は、「あの家に花を見に行ってならないよ。」と行くのを許しませんでした。

  「お父さんの名前は、何と言うの?」と急に男の子が尋ねました。 「お父さんは、ニチィと言う名前だよ。」と母親は答えましたが、ますます不安になって男の子がその花を見に行くのをしつこく止めました。

  それでも、男の子はどうしても見たいと母親におねだりして、お金を貰いその花を見に行きました。その家に着いて、主人に尋ねました。 「このきれいな花の名前は、何と言うのですか?」 「貧乏人がお金を持ってきたのだから、まぁ教えてやろう。この花はニチィ花という花だ。」と欲張りの主人は答えました。

  男の子がそれを聞いて、「ああ、やっぱりお父さんの花だ。お父さん。」ときれいな花に声をかけると、その大きな花はポロリと地面に落ちてしまいました。

  怒った金持ちの主人が男の子を殴ったり、蹴ったりしたが、それからはその花が咲かなくなり、金持ちの家は急に貧乏になったということです。

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