日刊OkiMag

沖縄の民話

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 多良間島では朝寝坊のことをユリワカデーズという。そして、水納島にはそのモデルになった伝説のユリワカデーズの鷹の鳥塚があるということです。今回は、その百合若大臣(ユリワカデーズ)とのお話について。

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■百合若大臣(ユリワカデーズ)    【宮古水納島】

  都の百合若大臣(ユリワカデーズ)は強い人だが、眠りはじめると七日も眠り続ける人で、奥方はとてもきれいな人でした。その百合若大臣の家来の中に、美しい奥方を自分の妻にしたいと思い、百合若大臣の命を狙う者がいました。

  その家来が、ある船旅の途中、六尺の刀を抱いて眠っている百合若大臣を筏(いかだ)に乗せて海に流しました。百合若大臣が目をさますと筏は、人が一人も住まない宮古の水納島(みんなじま)に着いていました。

  百合若大臣は、六尺の刀が五寸の短さになるまで貝を掘って食べ、シャコ貝の殻にためた水を飲んで命を長らえていました。ある日海岸の岩に大きな鳥が止まっているので、近付いてみると、それは家で飼っていた鷹で、足に妻の手紙が結んでありました。

  百合若大臣は、早速自分の指を刀で切り、血で妻への返事の手紙を書きました。その手紙を見た妻は、鷹の足に硯(すずり)と筆を結び付けて飛ばしてやると、鷹は大風に出会い、その上、硯が重かったので、百合若大臣のいる水納島まで来ると力尽きて死んでしまいました。

  百合若大臣は死んだ鷹を見つけるその鷹を島の真中に埋め、その上に石碑を立ててやりました。それが今も宮古の水納島にある鳥塚となったということです。

  それから、百合若大臣が毎日海を見て暮らしていると、大きな船が島の近くを通ったので、百合若大臣は岩に上がって声のかぎりに叫びました。船の方でも百合若大臣に気付いて島に寄ってきましたが、百合若大臣が髭(ひげ)ぼうぼうで、着物がボロボロになっているのを見て、「こいつは化け物だから、船には乗せられない。」となかなか乗せてくれませんでした。

  それでも百合若大臣が一生懸命に、「私は人間です。どうか助けてください。」と頼んだので、ようやく船に乗せてもらえ、都に帰ることができました。

  ところが、自分の住んでいた屋敷に行って中に入ろうとすると、門番がその汚れた姿を見て、どうしても中に入れてくれませんでした。それでも強く頼まれた門番が仕方なく主人に聞きに行っている間に、百合若大臣は屋敷の中に入ってその家の主人を見てみると、自分を島流しにした男でした。

  百合若大臣は、「昔この家に百合若大臣という男がいたそうだが。」と尋ねると、家の主人(昔の家来)が、何人がかりでないと持てない鎧(よろい)や兜(かぶと)、煙草盆(たばこぼん)などを家来に運ばせ、百合若大臣の話をしました。

  百合若大臣がその鎧を着て兜をかぶり、刀を持って身震いして、「お前は、私のことを忘れたか。」と立ち上がりました。その時、鎧や刀の錆は一度にぱっと飛び散り、その刀で悪い家来をみんな退治しました。

  それから閉じ込められていた妻を助け出して、それまでよりも幸せに暮らしたということです。

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