日刊OkiMag

沖縄の民話

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 今回は、八重山の赤馬についてのお話。

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■大城師番(おおしろしばん)の赤馬    【八重山石垣市】

  昔、八重山の宮良(みやら)村にひとり暮らしの馬乗りの名人大城師番という人がいました。ある日、この大城師番が海のそばを歩いていると、遥かに遠い南の沖の方に馬が現れ岸に向かって泳いで来ました。

  砂浜に水を滴らせながら上がってきたのは、大きくて見事な鹿毛(かげ)の馬でした。「誰が飼っている馬だろう。こんな立派な馬は、この八重山にはいないはずだが。さあさあ、自分の飼い主の所に帰りなさい。」と言っても、この馬は師番の飼い馬のように、おとなしく師番の後をついて来ました。

  その馬に乗ってみると、その速いこと、空を飛ぶような速さでした。 それから、いくら飼い主をさがしても現れないので師番は、この馬を「赤馬」と名付けて自分の家で飼うことにしました。 たちまち、赤馬の話は八重山中の評判になりました。

  やがてその噂は首里の王にも届き、王から赤馬を献上せよという命令がきたので、師番は赤馬を連れてはるばる八重山から旅を続けて首里に着きました。 早速、王が馬をご覧になると評判通りの立派な馬なので、王は馬に乗ってみました。しかし、かけ声をかけても、鞭(むち)でたたいても馬は少しも走ろうとしませんでした。そればかりか、馬は急に暴れ出して王を振り落とそうとしました。

  怒った王は、「こんな暴れ馬は、殺してしまえ。」と家来達に命令しました。馬役人は驚いて師番を呼び、「この馬は、いつもこんなに暴れる馬だとは思えない。試しにお前が乗ってみなさい。」と言いました。

  師番が馬に近づくと、今まで暴れていた赤馬は、すぐにおとなしくなり、師番をのせると疾風のように走り出しました。これを見た王は「この馬は、神様がお前に授けた馬のようだ。だから、誰もこの馬をお前からとることはできないな。」と言って、赤馬は師番に返されました。そして、師番は赤馬を連れて、八重山に帰ることができました。

  ところがこのことがあってから、赤馬の評判はますます高くなり、薩摩の殿様から馬を差し出すように命令がきました。師番は、仕方なく赤馬を薩摩の殿様へ献上することにし、赤馬の乗る船を八重山の港で見送りました。

  その船が八重山の港から出ると急に嵐が起こり船は港に吹き戻されました。すると赤馬は手綱を切り、人々が止めることができないうちに、船から飛びおり、まっしぐらに師番の家に駆け戻ると、師番に首を抱かれながら死んでしまいました。

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