日刊OkiMag

沖縄の民話

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 今回は、どうして海の水は塩からいのかについてのお話。

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■塩吹臼    【伊平屋村】

 昔、あるところに年寄りの兄弟がいました。長男の爺さんは金持ちで、次男の爺さんは貧乏でした。

 ある時のお正月、貧乏な爺さんのところに旅人がやって来て「今晩一晩だけ泊めて下さい。」と頼むと貧乏な爺さんは言いました。「私の家には何もないので泊めることはできません。」  「いやいや、何がなくても結構です。ただ泊めてくれるだけで十分です。」 「それなら、どうぞ泊まって下さい。」そこで、旅人は貧乏な爺さんの家で泊まることにしました。

 お正月というのに何もないので、囲炉裏に火を焚いて温かくしてお正月の夜を過ごしました。それが火正月の起りとも言われています。

 朝になって旅人は、「一晩泊めてもらったお礼にこの臼をあげよう。これは何でも願いごとがかなう臼です。お金でも御馳走でも何でもいいから欲しいィを言って、"出ろ出ろ"と言って右に廻すと願ったものが沢山出てきます。 止める時は"止まれ止まれ"と言って左に廻すと出るのが止まります。」  そう言って旅人は、その臼を置いてお爺さんの家を去って行きました。

 それから次男の爺さんは、その臼で欲しいものを何でも出して、何不自由なく暮らしました。ある晩、次男の爺さんは新しい家を建て、そのお祝いに御馳走を沢山作って隣近所の人たちを家に招待しました。

 長男の爺さんは弟の爺さんが急に金持ちになったので不思議に思って、弟の爺さんの家を覗いてみました。すると弟の爺さんは、ごろごろと臼を廻して欲しいものを出していました。

 「これは、いいものを見つけたぞ。」と言って長男の爺さんは、その臼を盗み出しました。「さあ、この臼があればもう金持ちだ。どこかの島に行って金持ちになろう。」そう言って長男の爺さんは臼を舟に乗せて島を離れました。

 途中で、「塩よ、出ろ出ろ。」と言って右に廻すと、塩がどんどん出て来てやがて塩は舟いっぱいになりましたが長男の爺さんは止め方がわかりません。そのうち塩はどんどん増えて舟から溢れだし、舟も爺さんも一緒に海に沈んでしまいました。

 その臼は今でも海の底でどんどん回って塩を出しているから海の水は今でも塩からいということです。

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