日刊OkiMag

沖縄の民話

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 今回は、猛毒の蛇であるハブの恩返しについてのお話。

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■ハブの恩返し    【大宜味村】

  昔、豆腐を作る時は、海の水で豆腐が固まるようにしていました。ある時、百姓の女の人が豆腐を作るために、海に潮水を汲みに行きました。手桶に潮水を入れ、それを頭に乗せて帰ってくる途中でパチパチという音が聞こえて来ました。

  その音はすぐ近くのアダンの林の中から聞こえて来ました。「なんだろう。」そう思って音のする所を見ると、煙が上がり、その煙の下では勢い良くアダンの枯れ葉が燃える炎が見えました。

  「火事だ。今のうちに消さないと大変なことになる。」女の人は潮水を入れて重くなった手桶を持って駆け出しました。燃えている火の真中にはとても大きなハブがいました。そのハブは、もうすっかり火に囲まれて逃げることができないでいました。

  「さあ、助けてやるからね。これから悪いことをしたらダメだよ。」女の人は頭に乗せていた桶の中の潮水をザザッとかけて火を消しました。女の人がもう一度海から潮水を汲んで帰ってくるときには、そのハブの姿はもう見えませんでした。

  ある日、その女の人が赤ん坊を連れて芋を掘りに畑に行くと赤ん坊が泣いてばかりいました。傍らに行って抱いてあやしてやると泣き止むのですが、離れて芋を掘りはじめるとまた泣き出しました。女の人は仕事がはかどらないので困ってしまいました。

  それで仕方が無いので赤ん坊が泣いていても構わずに芋掘りをすることにしました。するといつの間にか赤ん坊が泣かなくなりました。それどころか、赤ん坊のニコニコした笑い声が聞こえて来ました。

  「まあ、どうしたのでしょう。さっきまであんなに泣いていたのに、今度は一人で機嫌よく笑ったりして。」赤ん坊の所に行って見てみると、女の人はとてもびっくりしました。赤ん坊の傍らには大きなハブがいたのです。

  女の人は慌てて、ハブを追い払う棒を探したがみつかりません。赤ん坊がまた笑っているので、もう一度見てみると、赤ん坊はハブの首のところをギュッとつかんで、ハブの尻尾が目の前で揺れる度に笑い声を上げているのでした。そのハブは、この前火事になった時に助けたハブで、お礼に赤ん坊のお守をしていたのでした。

  女の人が呆れてみていると、ハブが言いました。「この前の御恩返しに、あなたにハブに噛まれないおまじないを教えてあげましょう。もしこれからハブに会ったり、ハブがいそうなところに行った時は、一息で、潮汲みの子孫だよ。水汲みの子孫だよ。上の道を通ったら、下の道を通れ、下の道を通ったら上の道を通れ。ジュホー、ジュホーと三回言って下さい。そう言えば、決して噛まないでしょう。」

  この女の人は、それからどんなにハブが多いところでもハブに噛まれたことがありませんでした。ハブの首はこの時赤ん坊に強くつかまれたから細くなっているということです。

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Copyright (C) 1999 沖縄まが人


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