日刊OkiMag

沖縄の民話
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  今回は、人間誰でも社会の役に立つのだよという教訓めいたお話。

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■ショーの国のゴータロウ    【名護市】

  昔、唐(とう)の国に目の見えない人が住んでいました。
  ある日、「お母さん、いくら目が見えないからと言ってもいつも家の中に
 いてはちっとも面白くないです。私を旅に出して下さい。」と頼みました。

  母親は、「目が見えないのにどうして旅ができるのか。」と心配しましたが
 どうしても行きたいと言うのでお弁当とお金を持たせてやりました。
  目の見えない人は、あっちこっちの村をまわって旅を続けました。

  ある日、日が暮れたので、山寺を尋ねて行きました。
  山寺には誰も住んでいる様子がありません。不思議に思いましたが、そっと
 そのお寺の床下にもぐり込んで寝ることにしました。

  真夜中になって、お寺の中から大勢の人が集まって、踊ったり、騒いだりし
 ている声が聞こえて来ました。こんな夜中にどうしたんだろうと思っていると
 時々「ショーの国のゴータロウには聞かすなよ。そうだ、ショーの国のゴータ
 ロウには聞かすなよ。」という言葉が聞こえました。

  ますます不思議に思っていると、やがて鶏(にわとり)の鳴き声が遠くの
 方から聞こえると、お寺にいた人たちはあわててどこかに帰っていきました。
  朝になって目の見えない人が床下から出て村におりて行くと、大勢の人達が
 泣き叫んでいました。

  「どなたか亡くなったのですか。」と目の見えない人が聞くと、「毎年、
 山寺に若い娘を生け贄に差し出さなければなりませんが、その印の矢がこの家
 に立ったのです。」と教えてくれました。

  目の見えない人は、昨日泊まった山寺のことだとすぐに分かりました。
  そして騒いでいた者達の言葉を思い出して、ショーの国のゴータロウを
 連れてくれば助けられるかもしれないと思いました。でも、ショーの国が
 どこにあるかもわかりません。

  それで、「ショーの国のゴータロウ、ショーの国のゴータロウ。」と大きい
 声で叫びながら歩いていると、「うちの犬の名を呼んで歩いているがあなたは
 誰ですか。」と声をかける人がいました。

  目の見えない人は、ゴータロウを探している訳を話して、その犬を貸して
 もらうことにしました。早速、山寺にある村に帰って、大きな箱を造って娘
 の代わりにゴータロウを入れました。

  村人達は、犬の入った箱を担いで山寺に行き、それを置くと逃げて帰って
 来ました。夜になって生け贄を食べようと化け物達が集まってきました。
  箱を開けようとすると、中から大きな犬のゴータロウが飛び出して、化け物
 を全部食い殺してしまいました。

  翌日、村人達が山寺に行くとゴータロウと、大きな沢山の猿が死んでいま
 した。こうしては村は救われました。村人達は村の恩人だと言って駕篭(か
 ご)に目の見えない人を乗せて、家まで送り届けました。

  母親は、「目の見えない人でも世の中に立派に役立つのだね。」と言って
 大変喜んだということです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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Copyright (C) 1999 沖縄まが人


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