日刊OkiMag

沖縄の民話
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/<< 【連載】沖縄の民話 >>_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 今回は、貧乏神と福の神は本人次第でどうにでもなるというお話。

              ---------------------☆--------------------

■貧乏神と福の神    【国頭村】

  昔、金持ちの家と貧乏な家がありました。金持ちの家には何代もの間、
 福の神が住んでいて、貧乏な家には貧乏神が住んでいました。

  金持ちの家に生まれた子供は、財産がたくさんあるので贅沢に育てられて
 怠け者になっていました。「また遊んでばかりいる。少しは勉強しなさい。」
 とお母さんが言っても子供は聞こえないふりをして勉強をしませんでした。
 お父さんも困ってときどき叱っていました。「お前は、もう心が腐っている
 のか。跡継ぎになるのだから少しは勉強しないと人がお金を持って来ても計
 算できないだろう。」

  その子供はお父さんに叱られているときでも横を向いてふくれていました。
 「なぁにこれだけの財産があるんだから勉強なんていらないさ。」金持ちの
 家に住んでいる福の神は子供があまりに怠け者なのにあきれてしまいました。

  「困ったことだ。いくら福を授けてやろうと思っても、この子が大きくな
 ればこの家はすぐに貧乏になってしまうなぁ。こんな家に住むぐらいなら、
 今は貧乏な家でもこれから金持ちになりそうな家を探して住んだ方がましだ
 なぁ。」

  貧乏な家にも子供が一人いました。
 「お母さん、あっちの畑はみんな耕したからね。」
 「あ、そうかい。あんなに広い畑がもう終わったのかい。疲れたろうね。」
 「さぁ、僕はこれから勉強するからね。」
 「いつもよく頑張るねぇ。体を大事にするんですよ。」

  貧乏な家の子供は家の仕事も良くするし、大変よく勉強する子供でした。
 代々貧乏な家に住んでいた貧乏神は困ってしまいました。「困った。困った。
 こんなに頑張る子供では、わしがいくら貧乏にしようと思ってもいつかは金
 持ちになってこの家も住み心地が悪くなってしまうなぁ。こんなだったら今
 は金持ちでもいつかは貧乏になる家を探した方が楽だね。」

 福の神は金持ちの家を出て、これから金持ちになる家を探しました。
 貧乏神も貧乏な家を出て、これから貧乏になる家を探しました。
 この二人の神様がばったり出会いました。

 「おお、貴方は貧乏神ですね。あなたに是非聞きたいことがあるんだが。」
 「おや、貴方は福の神ですね。私こそ教えてもらいたいことがあるんだが。」
 「私の話ははずかしい話ですよ。ですから、あなたからどうぞ。」
 「いや、あなたからどうぞ。」

 二人の神様は今自分が住んでいる家の話をしました。
 福の神の話を聞いて、貧乏神が言いました。
 「それですよ。私が探していた家は。」
 貧乏神の話しを聞いて福の神が言いました。
 「そんな家を探していたんですよ。」
 二人の神様が同時に言いました。
 「それなら入れ代わることにしよう。」

 それから、福の神は貧乏な家に行って、貧乏神は金持ちの家に行って住みはじ
 めました。それで、神様が入れ代わると怠け者の子供がいる金持ちの家はどん
 どん貧乏になっていきました。

  その家に住みついた貧乏神はすっかり喜んでいました。
 「ヒッヒッヒ、この家はあと百年でも二百年でも住み心地がいいぞ。」

  よく働く子供のいる家は何年かすると大変な金持ちの家になりました。
 その家に移った福の神も喜んでいました。「この家ならわしが何もしなくて
 も、二百年でも三百年でも住むことができそうだなぁ。ウッフッフッフ。」

☆★☆★☆★☆★☆★☆★≪ お願いはじまり ≫★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
ります。その転載・複写、一部引用等の二次利用は、教育目的、学術的な研究目的、
啓蒙的な意義のある活動(営利を目的としないもの) において自由に可能です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★≪ お願いおわり ≫★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

沖縄の民話を許可なく無断転載することを禁じます。
Copyright (C) 1999 沖縄まが人


≪戻る