日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、死んでまで子育てをする幽霊についてのお話。

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■子育て幽霊    【読谷村】

  ある晩、お菓子屋の主人が店番をしていると、いつの間にかうとうと居眠
 りをしてしまいました。すると、元気のない声で、「あのう、すみませんが、
 飴を下さい。」と言う声がしました。

  その声で目を覚ました主人は、目の前に立っている女の客を見てゾーッと
 しました。その女の人は、後生(ぐそう)の人が着るような白い着物で、長
 い髪の毛をざんばらにして、まるで死人のような青い顔で立っていたからで
 す。

  主人は、その時、病気の女の人だろうと思って、「ああ、この飴かね。」
 と飴を渡してやりました。ところが、しばらく後でその女の客が支払ったお
 金を見ると、いつの間にかお葬式などに使う紙銭(かびじん)になっていま
 した。「不思議だね。受け取った時には、確かに本物のお金だったんだが。」
 と思っていました。

  次の日もまたその女の人が昨日と同じ時間に、同じ姿で現れて、飴を買っ
 ていきました。今度も買う時には、本物のお金だったのが、しばらくすると
 また紙銭に変わってしまいました。

  三日目の晩も、また青い顔の女の人が飴を買いに来たので、お菓子屋の
 主人は受け取ったお金をすぐに盥(たらい)の水の中に入れてみました。
 すると、そのお金は、たちまち水の中に溶けて消えてしまいました。

  主人は、「これはやはり怪しいぞ。」と思って、こっそり後を追い掛ける
 と、その女の客は、村はずれの夜には誰も行かない墓場の方へよろよろと歩
 いていきました。

  そして、ある墓の前まで来ると女の人の姿がスーッと消えてしまいました。
 お菓子屋の主人が驚いて、早速、墓の持ち主の家に行ってこの話しをすると、
 この墓には、四、五日ほど前に難産で亡くなった女の人を入れたと言うこと
 でした。

  そこで、その墓の家の人と一緒に墓を開けて中に入ってみると、死んだ女
 の人が赤ちゃんを抱いていて、その赤ちゃんの手には、女の幽霊が買ってい
 った飴がしっかりと握られていました。
  
  「お墓の中でお産をして、飴を買って赤ちゃんを育てていたのだね。」
 とお菓子屋の主人もこの墓の持ち主も感心して、赤ちゃんを墓から出して
 育てると、この赤ちゃんは後で立派な人に育ったそうです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
ります。その転載・複写、一部引用等の二次利用は、教育目的、学術的な研究目的、
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