日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、烏(からす)と仁王(におう)についてのお話。

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■烏(からす)と仁王(におう)    【与那城町】

  昔、中国のことを唐とよんでいたころの話しです。
  その唐の国から宝をたくさんもらってきた仁王という人物の話しをしまし
 ょう。この仁王という者は身体が弱かったので、那覇の仁王御獄(におうう
 たき)の名をとって「仁王」と名前をつけたそうです。
  仁王というのは、とても力持ちの神様の名前です。

  ある日、仁王が松毛(まーちーもー)に行って草刈りをしていると、「仁
 王、仁王」と呼ぶ声がするので周りを見回してみましたが誰もいません。
  「おかしいなぁ。」と思ってまた草を刈ろうとすると、また「おい、仁王」
 と呼ぶ声がするので辺りを見回しましたが、やはり誰もいません。
  「やはり、気のせいだな。」と思って草を刈りはじめたら、「仁王、ここ
 だよ。ここにいるんだよ。」と声がしました。

  話をしているのは木の枝にとまっている烏(からす)でした。
  「仁王、いいことを教えてやろう。唐の国の王様の長男が重い病気で死に
 そうなっている。そこで、間もなく唐の国から琉球に医者を捜しに来るから
 その時はお前が行くんだよ。そしたら、きっといいことがあるよ。」
  「だけど、私は医者ではないよ。どうやって病気を治すんだ。」と仁王は
 尋ねました。

  すると烏が教えてくれました。
  「心配しなくてもいいよ。その王様の家には千斤もの大きな百足(むかで)
 がいて、そいつが長男のご飯を全部食べているから長男は病気になったんだ。
 だから、百足を退治したら病気は治るよ。それから琉球へ帰ってくる途中に
 無人島があって、その島には御願所(うがんじゅ)が一つある。その御香炉
 (うこーる)の下には沢山の宝があるからそれを持って帰って来なさいよ。」

  仁王は早速浜に出て唐船が来るのを待っていると、烏が教えてくれたように
 唐船が入って来て沢山の人が浜に上がってきました。
  その人たちに仁王が聞きました。「あなたたちはどこへ行くのですか。」
  「唐の王様の長男が病気なので医者を捜しに来たのさ。」と答えました。
  仁王は、すでに烏から教えてもらっており、「その唐に行く医者なら私で
 すよ。」と言いいましたが唐の国の人たちは誰も信じてくれませんでした。

  それで船員達が医者を捜しに出かけている間にこっそりと船に乗り込み、
 船の底の荷物の間に隠れていました。
  何日もの間、唐の遣いの人たちは琉球で医者を捜しましたが、良い医者を
 見つけることができずに船に戻って来て相談しました。

  「どうしようか。いくら捜しても王子様の病気が治せるような医者は見つ
 からないな。仕方がないから帰ろうか。」
  そこへ、仁王が船の底から出てきたので唐の人たちはびっくりしました。
  「やはり良い医者は見つからなかったでしょう。そんなら私を連れて行き
 なさいよ。」
  「そうだな。誰か一人ぐらいは連れて行かないと役目を果たしたことに
 ならないから、それならこの船で唐まで来て下さい。」

  唐に渡った仁王は本物の医者みたいに王様の長男の脈をとり身体を調べて
 から言いました。
  「これは大変だ。この家には大百足がいる。この百足が王子様のご飯を食
 べているから病気になった。早く退治しないと王子様の命はありません。」

  驚いた王様は家来に命じて、沢山の槍や薙刀(なぎなた)を集めて屋根裏
 を調べて見ると本当に目玉が皿ぐらいも大きな大百足がいました。
  それを退治すると、それからは王子様もご飯をよく食べるようになり、
 だんだん元気になりました。

  大変喜んだ王様から仁王は沢山の宝物を貰いました。
  仁王は琉球に帰る途中、船を烏から聞いた無人島につけてもらいました。
  その島には烏が言ったとおり、御願所の香炉の下には唐船一杯になるほど
 の宝物がありました。
  仁王は王様から貰った宝物と無人島で見つけた沢山の宝物を持ち帰り、
 それから楽しく過ごしたということです。

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