日刊OkiMag

沖縄の民話
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/<< 【連載】沖縄の民話 >>_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

  今回は、娘と子牛が入れ代る嫁入りについてのお話です。(せ)

              ---------------------☆--------------------

■牛の嫁入り    【八重山竹富町小浜島】

  昔、ある所に母親と娘が二人で暮らしている家がありました。
  その娘は二十歳になっても、外に少しも出ないで、いつも家の中にばかり
 いるので、母親は「この娘はどこにお嫁に行くのかねぇ。」と心配していま
 した。

  そのころ人々の噂ではよく人の運命を見てくれる和尚がいると聞いたので
 母親はその和尚を訪ねました。
  「私の娘はもう嫁に行ってもよい年頃なのに家の中にばかりいるのです。
 心配なので私の娘の運勢を見て下さい。」と頼みました。

  ところが和尚は、母親があまりにも美しいので、娘もきっと美しいと思い
 その娘を自分の嫁さんにしようと考えました。
  「お嫁に行くどころか、このままではあなたの娘は、後わずかの命しかな
 い。私にその娘をくれないか。そしたら私のお経でその娘の命を延ばしてや
 ろう。」と言いました。

  母親は、一人で一生懸命育てて来た娘なので、娘がいなくては自分は生き
 ていても何も望みもないと思い、「そうですか。娘の命を延ばしてもらえる
 なら喜んでお上げしましょう。」と返事をしました。

  しかし、和尚はお嫁さんを貰ったらいけないので、娘が来る時には人に
 見られないようにしなければなりません。
  そこで、和尚は考えて、「そうか。それでは七日のうちに箱を持たせて
 やるから、その中に娘を入れなさい。」と指示しました。

  その日になると、二人の使いの男がやって来ました。
  男達は娘を箱の中に入れると箱を担いで行きました。
  二人の男は山の中まで来ると疲れたので、ひと休みすることにして、持っ
 ていた酒をちびりちびり飲んでいるうちすっかり気持ちよくなって、一眠り
 してしまいました。

  そこへ侍が通りかかり、大きな箱があるのを見つけて中を開けてびっくり
 しました。中には美しい娘が入っていたので箱から出して、かわりに近くに
 いた子牛を入れ、元通りに蓋をしておきました。

  眠りから覚めた二人の男はお寺まで箱を担いでいきました。
  喜んだ和尚は二人の男にたくさんの褒美をやり、御馳走を食べさせ、酒も
 飲ませてやりました。

  ところが蓋を開けてみると中に入っているのは子牛なので、和尚は、
 「子牛などいらん。さっさと返して来い。」とかんかんに怒って二人の男に
 またその箱を担がせて返してやりました。

  母親は、一人で寂しく思っていると娘を入れた箱が帰ってきて、蓋を開け
 てみると、箱の中には子牛が入っているのですっかり驚いてしまいました。
 「確かに娘を箱に入れたのだから娘はこの子牛になってしまったのだろう。」
  そう思った母親は子牛を娘のようにかわいがり、夜になると寒いだろうと
 言って着物をかけてやったりしていました。

  ある日、母親は、「この子牛は、いつも家の中にいるだけでは寂しいだろ
 うから、珍しい芝居でも見せてやろう。」と子牛を連れて芝居見物に行きま
 した。

  母親が子牛と話しながら芝居を見ているちょうどその時、ニ階の席に立派
 な侍と結婚した娘も来ていて下にいる母親を見つけました。
  娘は二階から降りてくると、「お母さん、私です。」と言いました。
  母親がきょとんとした顔で、しばらくぶりの娘を見ると、娘はきれいな着物
 を着けて、大変元気そうでした。
  娘はこれまでのことを母親に詳しく話すと自分たちが住んでいる家に母親
 を呼び寄せ、一緒に幸せに暮らしたということです。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★≪ お願いはじまり ≫★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
ります。その転載・複写、一部引用等の二次利用は、教育目的、学術的な研究目的、
啓蒙的な意義のある活動(営利を目的としないもの) において自由に可能です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★≪ お願いおわり ≫★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

沖縄の民話を許可なく無断転載することを禁じます。
Copyright (C) 1999 沖縄まが人


≪戻る