日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、金の鳥についてのお話です。

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■金の烏    【宮古伊良部町】

  昔、あるところに毎日山に行って狩をしているお爺さんとお婆さんが住ん
 でいました。ある日のこと、お爺さんがいつものように山へ行くと金色に輝
 くきれいな鳥が空を飛んでいました。

  お爺さんはその鳥があまりにも美しいものだから、「見たこともない珍し
 い鳥だなぁ。この鳥はどこから来たのだろう。これは神様かもしれないから、
 鉄砲を撃たないようにしよう。」とじっと見ていました。

  「やれやれ、今日はもう家に帰ることにしようか。」とお爺さんはそのまま
 家に帰りました。
  家ではお婆さんが今日は何を捕って来るのだろうと待っていました。
  「おうい、お婆さんや帰ったよ。」
  お爺さんが戸を開けると、
  「おや、爺さんや、今日の獲物は何かね。」とお婆さんは尋ねました。
  「今日はあんまり珍しい鳥を見たから一羽も捕らないで帰ったよ。」
  「そんなだからいつまでたっても貧乏なんだよ。」とお婆さんは愚痴をこぼ
 しました。

  次の日、山へ行くと昨日と同じようにまぶしいくらい金色に輝く鳥が飛んで
 いました。
  「珍しい、珍しいね。」とお爺さんがその鳥だけを眺めていると、その金の
 鳥が、「爺さん、爺さん、なんで鉄砲を撃たないのですか。」と尋ねました。

  「あんたがあんまりきれいな鳥だから鉄砲で撃てないよ。」と答えると、
  「そうですか。爺さんは毎日ここへ来て狩りをしているけれど、どうして
 ですか。」とまた尋ねました。
  「私はね、狩をして婆さんと二人で暮らしているんだよ。」
  「お爺さん、そんなら、これから狩をしないと約束してくれるなら、ちゃん
 と暮らしていけるようにしてあげますよ。」と金の鳥が言いました。

  「暮らしていけるって、どうしてくれるんだい。」
  「爺さんが家に帰るまでに、家もきれいに造ってやって、生きている間、
 食べ物もいっぱい積んでやるよ。その代わり、これからは山に来ないでくだ
 さい。」と金の鳥は言いました。

  お爺さんは「それなら山に来て狩はしないと約束するよ。」と答えました。
  お爺さんは、不思議に思いましたが、明日から狩をしない約束を金の鳥と
 して家に帰っていきました。

  お爺さんは、家に帰ってきてびっくり。なんと今まで壊れそうだった小さな
 あばら家の代わりに御殿のようなきれいな大きな家がありました。
  「こんな所にこんな家があったかなあ。この屋敷のあたりは、確か自分の家
 があった所だが。」とお爺さんは、もうあっちに行ったり、こっちに行ったり
 して迷っていました。

  お婆さんがどこにいるか分からないので大きな声で、
 「婆さん、婆さんやーい。」と呼ぶと、その御殿のような立派な家の中から
 「爺さん、爺さん、なんであんたは家の中に入ってきなさらんか。」という
 お婆さんの声がしました。

  「ここはどうなっているのかね。」とお爺さんが聞くと、お婆さんは、
 「ここにたくさんの人が来てあっと言う間に家を建て、その人が食べる物や
 着物やらたくさん持って来て、爺さんと婆さんの分はここへ積んで置くよ。
 だから、もう爺さんを狩に行かせないでねと言っていたよ。」と言いました。

  それからというものお爺さんは山へ狩を行くこともなくのんびりと暮らして
 いました。
  しばらくしてお婆さんが言うことには、「爺さん、私は空を飛んでみたい。
 空を飛んでみたい。」と毎日言うようになりました。
  「なんでお前はそんなことを言うのか。」と聞くと、
  「自分はどうしても空を飛んでみたい。お爺さんがあの金の鳥にお願いを
 してくれれば、私のお願いもかなうでしょう。」と言って毎日、お爺さんに
 頼みました。

  お爺さんはもう困ってしまって、またあの金の鳥にお願いしようと、仕方
 なく山へ行ってみました。
  「今日はあの金の鳥は飛んで来ないかな。」と空を見上げて待っていると
 金の鳥が飛んできました。
  「お爺さん、どうしてまた山へ来たのですか。」と金の鳥が尋ねると、
 「婆さんがね、空を飛んでみたい、空を飛んでみたいと、もうあまりにもう
 るさく言うのでお願いに来たんだよ。」と答えました。

  「そうですか。分かりました。それじゃあ、お爺さん、すぐに家へお帰り
 なさい。お婆さんはもう空を飛んでいるだろうよ。」と金の鳥が言いました。
  お爺さんが家に帰ってお婆さんを呼んでも返事がありません。
  どこを探してもお婆さんは見つかりません。
  だけど、屋根の上に鳥が一羽とまっており、カァー、カァーと鳴いていま
 した。

  それを見たお爺さんが、「お婆さんはこの鳥になったのかね。婆さん、婆
 さん、あんたは鳥になって空を飛んでいるのかい。」と呼んでみました。
  すると、烏が「カァー」と鳴いたので、お爺さんはお婆さんが鳥になって
 しまったことが分かりました。

  だから、鳥は毎日山へ行ってはまた戻ってきて自分の家の屋根に座っている
 ということです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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