日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、犬が婿入りをすると言うお話についてです。

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■犬の婿入り    【読谷村】

  昔、ある王様が隣の国から攻められました。
  敵の軍勢はとても多く、その王様の軍は次々に破れて、落城しそうになり
 ました。
  そこで、王様が家来を集めて「もし、敵の軍の大将の首を取ってきた者が
 いたら、どんなものでも望み通りの褒美をやるぞ。」と言いました。

  しかし、押し寄せる敵の軍勢を見るとそれまでは強さを自慢していた武士
 達も尻込みして、誰も敵の大将の首を取りにいく者はいませんでした。
  その時、王様のお姫様がいつも可愛がっていた大きな犬が、急に城から飛
 び出して行き、見る間に敵の軍勢の中に走り込んで敵の大将に襲いかかり、
 首を噛み切るとその首を下げて城に戻って来ました。
  それまでは勢いのあった敵の軍は大将がいなくなったので混乱し、城から
 打って出た王様の軍に追い払われてしまいました。

  戦が終わると王様は、その犬のお陰で勝ったのだから、
 「お前の望みは何か。お前の望みをかなえてやるから言いなさい。」と犬に
 言いました。
  ものを言わない犬だから「それでは御馳走をやろう。」と、その犬が大変
 好きな御馳走をやったのですが、犬は食べませんでした。

  犬はそこに座っているお姫様のところへ行くと、そのお姫様の着物をくわ
 えてしきりにひっぱりました。
  王様はそれを見て「どうしてこの犬は、姫の着物をひっぱるのか。」と
 言うと、犬はますます「この姫が欲しい。」と言うように、そのお姫様の
 着物をひっぱりました。

  お姫様は「この犬は普通の犬ではありません。王様の言葉が分かって、
 敵の大将の首を取ってきたのですから、王様の約束通りこの犬の望みを聞い
 てやって下さい。」と言いました。

  王様は、しばらく考えていましたが「敵の首を取ってきたら望みの物を
 やると言うのは、確かに私の約束だ。だから約束は守るが、姫を欲しがる犬
 をこの城に置くことはできない。それならお前と犬を島流しにする。」と
 言って、その犬とお姫様に乳母と家来をつけ、また食べ物もたくさん船に乗
 せて、島流しにしました。

  船が流れ着いた島には洞窟がありました。家もないので、その洞窟の横に
 家を作って、三名の人間と一匹の犬がその家で暮らしはじめました。
  そのうちに、ついて来た乳母と家来も年寄りだったので、早く亡くなって
 しまい、後はこのお姫様と犬だけになりました。

  すると犬はお姫様に「私が人間になってくるまで我慢して待って下さい。」
 と言って、その洞窟の中に入って行こうとしました。
  お姫様は、自分一人になると、もうそこは無人島だから怖がって、
 「動物の姿のままでもいいから、早く帰って来てくれ。」と頼みました。

  それから、犬は洞窟の中で少しづつ人間に変わって、七日経てば全部人間
 になれるのだが、お姫様は寂しがって毎日泣いて暮らしていたので、六日目
 にとうとう我慢できなくなって、犬の姿を見ようと洞窟の中に入って行きま
 した。

  それで、この犬を見たところ美しい男の姿になっていましたが、尻尾だけ
 が残っていました。
 「少し犬の跡が残ってしまったが、これでもいいかい。」と言うとお姫様は
 「それでもいいです。」と言ったので、二人は結婚しました。
  やがて、この夫婦から子供が生まれ、その島ではお姫様と犬の子孫が増え
 て栄えるようになったということです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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Copyright (C) 1999 沖縄まが人


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