日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、猫の恩返しについてのお話しです。

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■猫の恩返し    【宮古・伊良部町】

  昔々、ある所に立派なお寺があってオンガン長老という和尚さんが住んで
 いました。寺には和尚さんがたいそうかわいがっている大きな猫がいました。
  オンガン長老は、葬式があると大忙しでお経を唱えに行っていました。

  ところが不思議なことに、和尚さんが葬式に呼ばれて一生懸命お経を読ん
 でいるのですが、龕(がん)に入れて運んでいる中の死人は、いつの間にか
 お墓に着く頃には骨だけになっていました。

 「これは不思議だね。柩(ひつぎ)の蓋(ふた)はちゃんと閉まっているの
 に、一体何物がどこから入ってこんなことをするのかね。」と和尚さんも村
 の人たちも大変不思議に思っていました。

  ある日、和尚さんのお婆さんが病気で亡くなりました。
 「日も暮れたことだし、もう葬式は明日にしようか。」と和尚さんは猫を抱
 いて寂しそうに独り言を言いました。
  すると、裏庭の方から「ミャーウ、ミャーウ、おーい、早く出てこいよ。」
 と声がしました。

  すると、今までおとなしく和尚さんの膝の上に座っていた猫がポンと外へ
 飛び出して行きましたがすぐに戻って来ました。

  和尚さんが「どうしたんだ。」と聞くと、猫は「なんでもありません。
 明日は葬式があるから一緒に食べに行こうよと誘われたけど、私のお婆さん
 の葬式だからできないと断ってきました。」と答えました。

 「そうか。犯人はこいつらだったのか。」和尚さんは、この猫の話でこれま
 で死んだ人が柩の中で骨ばかりになっていることが分かりました。
 「でも、棺箱の蓋がちゃんと閉まっているじゃないか。どうやって中に入る
 んだ。」と和尚さんが聞くと、大きな猫は「村を出るまでは駄目さ。村はず
 れで棺桶(かんおけ)に雲がかかって暗くなった時にさっと中に入って、そ
 のあともう一度雲がかかった時に飛び出るのさ。」と言いました。

  和尚さんは「それなら入れないようにするにはどうすればいんだね。」と
 聞くと、「雲がかかったら薙刀(なぎなた)で棺桶を叩くとお婆さんは食わ
 れずにすむだろうさ。」と教えてくれました。

  そして、あくる日お婆さんの葬式の日になりました。和尚さんは薙刀を持っ
 てお経をあげていました。お婆さんの柩を乗せた龕(がん)が村外れまで来
 ると、急に大きな黒い雲がかかって暗くなったので、和尚さんは急いで薙刀
 でカッパラ、カッパラと棺桶を乗せた龕を叩きました。

  それを見た村人達は「なんと変わった葬式だね。和尚さんは何を怒ってい
 るのだろう。」とあっけにとられていました。しばらく行くとまた大きな黒
 い雲がかかってきたので、もう一度和尚さんはカッパラ、カッパラと棺桶を
 乗せた龕を叩きました。

  やっとこさお墓に着いて、棺桶の蓋を開けて覗いて見ると、お婆さんの体
 はそのまま残っており、傍らに三匹の大きな猫が死んでいました。

  その時から、葬式の時には魔よけとして、薙刀のかわりに葬式旗をたてる
 ようになったということです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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