日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、鳴く鶏の絵についてのお話しです。

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■鶏の絵    【竹富町波照間島】

  昔々、大晦日の晩に、どこからかみすぼらしい姿をした旅人がやってきま
 した。旅人は、外は寒い風が吹くのでどこかの家に泊めてもらおうと一軒づ
 つ家をまわって頼みましたが、どの家でも「あんたのような汚い人を泊める
 と、正月の御馳走がまずくなる。」と言ったり、「せっかくきれいに大掃除
 をしたの、あんたのような人を泊めると汚れてしまう」などと言って追い払
 いました。

  そこで、その旅人が村はずれの年寄り夫婦が住む貧乏な家に行って頼むと
 「なんにもないが、泊まっていきなさい。」と泊めてくれました。
  爺さんと婆さんは、食べ物がないので火に鍋をかけて湯ばかり飲んでいた
 ところでしたが、その旅人を泊めてやると不思議なことに鍋は御馳走で一杯
 になり、3人はその御馳走を食べてよい年越しをしました。

  元旦の朝早く起きた旅人は、懐から紙と筆と硯(すずり)を出してさらさら
 と絵を書きました。そして、その絵を年寄り夫婦に渡しながらこう言いまし
 た。「これは、一晩泊めてもらったお礼です。この絵があれば、よい事があ
 るでしょう。」

  爺さんと婆さんが見ると、それは鶏の絵でした。しかし、よく見るとその
 紙に書かれた鶏には、片目がありませんでした。
  爺さんと婆さんが片目の理由を聞こうとすると、旅人の姿はもうすでに消
 えていました。

  やがて、近所の人たちが爺さんと婆さんの家に元旦の挨拶にやってきまし
 た。すると、家の中に飾られている鶏の絵がコケコッコーと鳴き、やってき
 た人たちを驚かせました。

  絵に書いた鶏が鳴くという評判は、たちまち島中の噂になり、その絵を
 見せてもらいたいと沢山の人が見にくるようになりました。
  そこで、爺さんと婆さんは、見に来た人からお金がもらえるようになりま
 した。やがて、この鶏の絵の噂は、他の島まで広がり、わざわざこの鶏の絵
 を見るために、遠くの島からもやってくるようになり、たちまち、爺さんと
 婆さんは大金持ちになりました。

  次の年の大晦日の晩に、またあの旅人がやってきました。
  爺さんと婆さんが旅人に礼を言うと、旅人は片目だった鶏の絵に、もう一
 つの目を書き込みました。
  すると、その絵の中から鶏は、絵の中から抜け出してどこかに行ってしま
 いました。それを爺さんと婆さんが驚いて見ているうちに、旅人の姿も何処
 かに消えてしまいました。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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