日刊OkiMag

沖縄の民話
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  今回は、狐との間に生まれた子供についてのお話しです。

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■狐女房  【具志川市】

  昔、王様の命令で妻と別れて唐(とう)の国に旅した男の人がいました。
  この男の人は唐の国(中国)で学問や武術を学んでいる時に、美しい娘と
 出会って、その娘が狐とも知らないで夫婦にりました。

  その娘は男の人の世話をし、武術の稽古の相手もしました。
  娘を好きになった男の人は、沖縄に帰る約束の年になっても帰らなかった
 ので、沖縄で夫の帰りを待っていた妻は夫を待ちきれず、唐の国まで夫を訪
 ねてきました。

  妻は、夫が若い娘と暮らしていたので、その娘に夫を返してくれと頼みま
 した。
  すると娘は箱を出して、「この宝の箱は、この角を振ればお金がもうかり、
 この角を振れば長生きしてまたこっちの角を振ればなんでも思い通りになり
 ます。この宝の箱をあげますから許してください。」と四つの角の内の三つ
 の角の話をした。

  妻は、「いや、もう一つの角の力を教えなければ許しません。」と言うと、
 「もう一つの角は憎い人が死ぬ角です。」と娘が言ったので、妻はその箱を
 すばやく取り上げて、「さあ、憎い女が死ぬ角を振りましょうか。」と言っ
 たので、その娘は負けてしまいました。
 
  娘は狐の姿に戻ると男の人に向かって、「私のお腹にあなたの子供がいま
 す。この子供にあなたの子供だという印になる物をください。」と涙を流し
 て頼みました。
  男の人は手に持っていた扇子(せんす)を狐に渡して、「子供が大きくなっ
 たら、この扇子を持って沖縄に来るように言いなさい。」と言ってその狐と
 別れました。

  唐から沖縄に帰った後で、この夫婦にも男の子供が生まれました。
  この子供はお父さんとそっくりで、やがて、学問にも武術にも優れた息子
 に育ち、王様の武術の指南役を選ぶ試合にまで出ることになりました。

  沖縄中から集まった武術者が技を競って勝負しましたが、この息子に勝つ
 者は一人もいませんでした。 
  名誉な王様の武術の指南役がこの息子に決まろうとした時、扇子を手に持
 った一人の若者が急に現れ、「さあ、私と勝負しよう。」と言いました。

  そして、これまでゆうゆうと勝ち残った息子と扇子一本で勝負して、たち
 まち勝ってしまいました。
  勝負を見ている人たちは、その若者の強さに驚き、王様の武術の指南役を、
 その若者に決めようとしましたが、その扇子を持った若者がどこの家の若者
 とも分からないので、みんなは困ってしまいました。

  その時、その若者が手に持った扇子をひろげると、その扇子は昔、お父さん
 が唐に行った時、狐の妻に生まれる子供の証拠として残してきたものでした。
  そこで、その若者はお父さんと無事に対面し、王様の武術の指南役にもなる
 ことができたということです。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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