日刊OkiMag

沖縄の民話
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 今回は、「お金はいつまでもない」という教訓めいたお話しです。

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■竜宮の宝  【粟国村】

  昔、大変なお金持ちがいました。
  いつもこのお金持ちは、「私はこの村で一番のお金持ちだ。私にかなう者
 はいないぞ。」と威張ってお手伝いをする人や下男を牛や馬のように扱って
 いました。

  この家にはとても心のやさしい娘がいて、父親の威張るのをいつも気にし
 ていました。ある日、父親があまり貧乏人の悪口をいうので、娘はたまりか
 ねて、かねがね思っていることを言ってしまいました。

 「お父さん、金持ちと貧乏は坂道を下がったり上がったりするように、天の
 定めで変わるものと言われていますよ。」
 「なんだと。お前は貧乏が好きなのか、それならお前は村一番の貧乏人の所
 へ嫁に行きなさい。」と父親は下男達を呼びつけ、「おい、お前らこの村で
 一番の貧乏者を捜して来い!」と言いつけました。

  下男達はあっちこっちの家と、村中を歩きやっと貧乏者を見つけました。
 「ご主人様、とても貧乏な者を見つけました。」
 「そうか、それでその男の暮らしぶりはどんなだ。」
 「はあ、食べ物は普通で鍋や茶碗も少しはありました。」
 「馬鹿者か。そんな男は貧乏人のうちには入らない、もっと貧乏な男を捜し
 てこい。」

  下男達はまたみんなで村中を隅々まで捜しました。
  海の方まで捜しに行くと、一人で釣りをしている男を見つけました。
  この男はとても貧乏だったので、彼らは急いで帰りご主人に報告しました。
 「家が無く海岸の洞穴に暮らしている男がいまして、この男は小さな魚を釣
 ると貝の殻を鍋や皿の替わりにして食べています。」

 「それは丁度よい。娘をその男にくれてやろう。」と金持ちの父親は娘を呼
 び、「ちょうど、お前が望んでいるような貧乏人がいる。お前はその男の所
 へ嫁に行きなさい。」と言って娘を家から追い出してしまいました。
  行くあてのない娘はとうとう海岸にやって来て、洞穴で暮らしている男の
 人に頼みました。

 「どうか私を嫁にしてください。」男は突然でびっくりして「とんでもない。
 私など一人で生きていく食べ物を見つけるのが、やっとです。あなたの食べ
 る分まではありません。」
 「食べ物の心配はいりません。私の父が、どうしても貴方の嫁になりなさい。
 と私を家から追い出したのです。」

  それで二人は結婚して一緒に暮らすようになり、最初、男は朝早く海に漁
 に出かけ、娘は野原の野草を摘み食べ物にしていましたが、その内だんだん
 と食べ物が無くなってしまいました。

  そこで娘は夫になった男に頼みました。
 「私の家へ行って、父に見つからないように母に会ってきてください。貴方
 の顔を見ると母は、きっと何かを持たせてくれるはずです。」

  男が娘の家を訪ねると娘のことを心配していた母親は、父親に内緒で沢山
 の黄金をその男に持たせてやりました。
  これまで黄金というものを見たことが無い男は「こんなに重たい石のよう
 なものを何故、私に持たすのだろう。」と言いながら洞穴に帰る途中、田ん
 ぼにいる白鷺を見つけました。
 
 「よし、これを取って今夜の食べ物にしょう。」と持っていた黄金を白鷺め
 がけ投げつけたが、なかなか当たらなく男は母親からもらった全ての黄金を
 全部田んぼに投げ捨ててしまいました。

  男が何も持たずに帰ったので娘が訊ねました。
 「母が、何か貴方に持たせなかったですか?」
 「貴方の母親は私に黄色い重たい石ばかり持たせたので、途中白鷺を見つけ
 それを獲ろうと思い全部田んぼに投げ捨ててしまったよ。」
 「ええっ!それは黄金といって大切な宝物なんですよ。」娘があきれ顔で言
 うと「あれが黄金というものなら、私が行く海に沢山あります。」

 「それなら、すぐにその黄金を取って来てください。」
 ところが、男が海の黄金を取ろうとすると突然海の中から神様の声が聞こえ
 ました。
 「誰だ!龍宮の黄金を取ろうとする者は、この宝は天の決めた人が天の決め
 た日にしか取れないものだ。」

  男は、恐ろしい神様の声に驚き、そのまま家に帰りました。 
  それからも食べ物には、困ったが、娘の母親に助けられながら暮らしてい
 るうちに、二人の間には男の子が生まれました。

  ある日、娘が男に言いました。
 「今なら海の中にある黄金を取ることが出来ますよ。すぐに海に行って黄金
 を取ってきてください。」
  男が海に行くとちょうどその日は、海の潮が引き海の底にある山のような
 黄金を一つ残らず拾うことが出来ました。
  そのお金で二人は家を買うことにしました。

  男が家を探し回っていると、ある日立派な家の主人が貧乏な男の姿を見て、
 からかってやろうと思って、「あんたがこの家を買いたいのなら、売っても
 いいよ。だがお金はあるのだろうね。」
 「本当ですか、私に売って頂けるのですね!それなら約束のしるしに、ここ
 に一筆書いてください。」

  次の日、男は立派な服を着てお金を持ってきました。貧乏人と思って約束
 をしてしまったその家の主人は、仕方なくその家を約束どうり譲りました。
  二人がその家で楽しく暮らしていると、娘の家がいつのまにか貧乏になり、
 毎日の食べ物にも困るようになったので、心やさしい娘はその両親を家へ呼
 び寄せ、一緒に暮らすようになったそうだ。

  だから「金はいつまでもあると思うな。」と言われています。

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当民話は、沖縄国際大学文学部 遠藤庄治教授のご厚意により掲載させて頂いてお
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